熊本地震、そのとき、ネット動画は…
2016年、4月14日に熊本を震源とする非常に強い地震が日本を襲い、甚大な被害をもたらしました。今回被害に遭われた方々に謹んでお見舞いを申し上げます。
この地震に対してインターネット界も盛大に反応し、様々な情報や記事が発表され、大いに読まれました。SNSを安否確認に使用した方も多くいました。では、今やインターネットとは切っても切り離せない関係にある『動画』はどのように反応し、何を発信したのでしょうか?
このブログでは普段から動画の再生回数やシェア数などを扱っているため、記事作成の過程で、震災関連の動画でしかもアクセスの多かったものを多数目にする機会がありました。改めてこの記事でまとめたいと思います。
ちなみに、(いきなり寄り道で恐縮ですが)地震の直後にこちらのニュースが話題になりました
①ホリエモン、麻雀番組自粛に「馬鹿げてる」と怒り
サイバーエージェントとテレビ朝日がこの春から肝入りで始めた”インターネットテレビ局”の『AbemaTV』で17日に予定されていた「坊主麻雀」の放送延期を受けて、出演予定だった堀江貴文さんがTwitterで怒りをぶちまけました。
熊本の地震への支援は粛々とすべきだが、バラエティ番組の放送延期は全く関係無い馬鹿げた行為。人のスケジュールを押さえといて勝手に何も言わずキャンセルするとはね。アホな放送局だ。 https://t.co/LipBWYxhi6
— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) April 16, 2016
俺たち地震の被害を受けてないものは出来るだけ普段通りの生活をしながら無理せず被災者支援を行うのが災害時の対応だろう。単に「こんな時に馬鹿な番組やりやがって」というノイジーマイノリティの苦情を受けるのが嫌なだけのチキン野郎には存在意義は無い
— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) April 16, 2016
この投稿は大きな話題になり、非常時のエンターテイメントに関する自粛是否論争が巻き起こりました。この件に関して注意したいのは、今までの「テレビでバラエティを放送するのは是か否か」という議論とは違うということです。インターネット動画はチャンネル数が決められているわけではないので、テレビのように、「自粛してその枠で代わりにニュースを流す」というわけではありません。単純に「こんな大変な時に遊んでるんじゃないよ!」という「批判」によって炎上しないための自粛であると考えられます。それに対して堀江さんは、「馬鹿げている」と怒っています。
②では、HIKAKINはどうだったか?
地震発生後、YouTuberの方々にも同じような葛藤があったと思われます。彼らは毎日動画を公開している以上、震災の翌日にも動画を公開するタイミングがあり、多くのファンを抱える大物YouTuberたちには、「Abema TV」のように、炎上を回避するべく「今日は動画を公開しない(自粛する)」という選択肢もありました。YouTubeのコメント欄はけっこう荒れやすく、大物でもふとしたことで炎上します。視聴者離れは致命傷になってしまうYouTuberはその点、かなり気を使っています。
そんな中、トップYouTuberであるHIKAKINさんが発表したのがこちらでした。
彼が選んだのは「自粛」や「通常放送」ではなく、「震災用の内容に切り替える」という選択肢。毎日動画の内容を考えて休まず更新してきた彼だからこその素早い対応であり、「自ら震災の話題を持ち出す」というかなり勇気のある選択だったと思います。なぜなら、「素人が適当な情報を発信するな」「被災者はYouTubeなんて見ない」等の批判がある程度は予想されていたはずだからです。しかし、実際に公開後はコメント欄では賞賛の声が相次ぎ、彼の選択は評価を得ています。
③はじめしゃちょーの場合
同じく、YouTuberのトップを走るはじめしゃちょーさんにも様々な選択肢があったはずですが、彼が発表した動画は、通常通りの「水をかけると何十倍にも膨らむ粉でお風呂作ってみた」という「やってみた」系動画で、その代わり、動画説明欄に「Yahooネット募金」のリンク先が貼ってありました。「普段通りを続けながら支援を行う」という先ほどの堀江さんの主張にかなり近い対応と言えるでしょう。

④震災時のパチンコ店店内の様子
YouTuberの動画とは別に、一般人が撮影した動画でも再生回数を稼いだものがありました。それがこちらの動画です
死ぬか思った! pic.twitter.com/TqOdkFFze6
— 山本☆三世 (@infinity77777) April 14, 2016
こちらは、Twitter上ではそこまで拡散されたわけではありませんが、YouTubeに転載されてさらにそれが各種まとめサイトで拡散され、100万回を超える再生回数を記録しました。地震が起きてもパチンコを撃ち続ける人、床に散らばったコインを拾おうとする人(?)などがネットの人々の興味を引き、大きな話題となりました。また、Twitter、YouTubeに関わらず、この映像を使用したい、というテレビ局からのメッセージが相次ぎ、昨今のテレビ報道スタッフの(取材とは別の)大変さが垣間見える状況になりました。


⑤ワンピース・ルフィの声優が作った励まし動画
人気アニメ「ワンピース」の主人公、ルフィの声を演じる声優、田中真弓さんの動画がTwitterランキング入りしていました。
参考記事:ルフィが熊本にエール!?衝撃映像が満載のTwitter動画ランキング!
https://twitter.com/mitaaan3/status/721257430915481600
田中さんがルフィの使う必殺技「ギア4th」の仮装で熊本の方々への応援メッセージを述べています。田中さん本人がこのように公開されることを見越していたのかは定かではありませんが、有名声優の思わぬメッセージ発信と、ビジュアルの強いインパクトで瞬く間に拡散されました。多くの有名人が文章でメッセージを発する中、動画での発信はTwitterの拡散力ともマッチし、多くの人に届く結果となりました。
さらにその後、アニメ「ワンピース」の声優陣が一堂に会して応援メッセージを送る動画が公開され、80万回以上再生されました
いかがだったでしょうか。今後も象徴的な動画が見つかり次第、まとめに加えていきたいと思います。